潜伏期間や加熱温度・時間などの科学的データ(数値)はどのように捉えればよいですか

科学的なデータの捉え方は、専門家により見解に違いがあります。検定テキストでは、原則として食品安全委員会や厚生労働省など公に認められている発信元の情報を参照しております。

例えば、食中毒菌の潜伏時間に関しては、微生物の性質自体が変化することと、感染するヒトの状態も異なることから、過去の疫学分析結果を示すしか方法がありません。従って、調査条件によって結果は異なることになり、条件を明確にしないかぎりは最大公約数的な値(一般的な値)を示すことになります。

食品の殺菌条件は、影響するパラメーターが多く、組み合わせも複雑なので、ケースバイケースの対応が必要です。

  • 食品(組成、均一性(加熱殺菌の中心部は温度が一番上がりにくい部分)、処理量、共存生物、ほか)
  • 均一な組成の液体食品でも、対象生物種の分布が均一ではない場合もある。
  • 対象生物種(カビ・細菌・ウイルス・寄生虫、ほか)、菌株、菌量、菌の履歴(生育培地組成・温度)、環境適応・馴化、細胞周期、ほか
  • 対象生物種の細胞周期なども均一ではない。耐熱胞子がいないとしても、熱で全ての栄養細胞を殺菌することも、確率的にゼロ(滅菌)にはならない。
  • 例外として、火山や温泉、海底などで生きている耐熱性の強い生物もいます。これらや耐熱芽胞菌の例外を除くと、その他の生物は63℃、30分間の加熱で生理活動を行うタンパク質(酵素など)や膜構造(リン脂質やタンパク質)が変性して活動がしだいに停止します。ウイルスも不活性化されます。

更に詳しく知りたい場合は、専門書を参照されることをお薦めします。